ポプラ日記

耳道内洗浄は歯石除去と似ている
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2023年05月24日(水)
こんにちは

今回は耳道内視鏡(VOS)について少しお話ししますね。
耳の中はとても狭い空間で、特にワンちゃん猫ちゃんの耳はL字に途中で曲がっているために鼓膜まで観察することが意外と困難なのです。
耳内のトラブルが繰り返し起きる場合、鼓膜付近は大体汚れが詰まっております・・。
これは、通常の耳洗浄や綿棒などではとても対処できません。というか綿棒を奥に入れると耳垢を押し込む、炎症が悪化するリスクにつながります。
そこで、耳道内視鏡の出番になります。


このような細かい鉗子やガイドで、個々に適切な器具を使用し鼓膜付近の汚れや異物を除去します。

鼓膜付近の耳垢塊です。通常の洗浄や点耳薬では除去できないため、外耳炎が治りにくい状況になります。
このような場合、耳内視鏡による摘出と鼓膜付近の丁寧な汚れの除去が必要です。

歯で例えると歯石除去に近い感覚です。
歯石は見える、匂いがするなどわかりやすいので飼い主さんが気にしますが、鼓膜はなかなか見えないので放置状態になっていることが多く見受けられます。

歯石除去は大体の動物病院で対応してくれますが、耳道内内視鏡による作業ができる動物病院は北海道でも数少ないため当院ではなるべく遠方の方にも対応できるようアナウンスしている次第です。(機器を導入している病院自体が少ないです)
また、細かい作業のため経験がかなり必要になります
歯石除去同様に麻酔が必要ではありますが、耳道内の洗浄を行うことで下記の効果が期待できます
・点耳薬が奥まで届く
・壁の滑り(バイオフィルム)が除去できる
・鼓膜の機能が回復する
・異物や腫瘤がある場合、除去可能(レーザー併用)
・中耳内の確認ができる
特に左右差がある外耳炎の場合、悪い方に何らかの原因が隠れている可能性が高いので、気になる方はご相談ください。